ミストラルのクランクをSORA FC-R3000に交換

SORA FC-R3000

2016年4月、シマノSORAがフルモデルチェンジをしました。「クランクをSORA化したいなぁ〜」と考えていたところにタイミング良く新型SORAの発表があり、とてもラッキー。もし発表前に購入していたらガックリしているところです(笑)。4アームになっていて、見た目も高級感が増しています。

今回は、ミストラルのクランクをSORA化し、BBもスクエアタイプからホローテック化を行った様子をお伝えしたいと思います。

シマノ SORA FC-R3000とは?

SHIMANO SORA FC-R3000

出典:http://cycle.shimano.co.jp

今回新シーリズとして発表されたロード用コンポSORAグレードのクランクセット「SORA FC-R3000」は、4アーム構造が取入れられています。これは、DURA-ACE、ULTEGRA、105、TIAGRAから受け継がれてきた構造で、ついに今回のフルモデルチェンジでSORAにもこの4アーム構造が取入れられました。

以前のモデル(SORA FC-3550)はギヤが丸出しでホネホネしたイメージですが、新いクランクは丸みを帯びたフォルムで全体がまとまっていて、とても高級感があります。

クランク長は165mm、170mm、175mmの3種類があります。僕が購入したのは最もスタンダードな170mmです。

チェーンリングはラインナップにダブルとトリプルがあり、トリプルは品番がFC-R3030。僕はフロントを3枚使う事が無いので、チェーンリングをダブルのものにしました。

対応チェーンはHG 9-speed、歯数構成 50/34T、PCD(Pitch Circle Diameterの略で、フロントギア板を固定するボルトを結ぶ円の直径:ピッチ円直径を表したもの) 110mm ・チェーンライン 43.5mm、アクスルタイプ 24mm・推奨BB BB-RS500, BB-RS500-PBという仕様になっています。

交換する時の注意点

歯数が48Tから50Tに変わる

歯数が48Tから50Tに変わり、円周も大きくなります。すると今まで使っていたチェーンでは長さが足りなくなってしまいます。長さが変わるので新しいチェーンを用意しておきましょう。

また、歯数が2個増えて円周が大きくなるということは、ペダルが重くなるということも頭に入れておきましょう。

ギヤの枚数がトリプルからダブルに変わる

今回のカスタマイズではフロントギヤの枚数を、トリプルからダブルに変更しました。標準装備のフロントディレーラーはトリプル用ですので、合わなくなってしまいます。僕はフロントギヤを変えることがほとんどないので、フロントディレーラーを取り外し、ワイヤーも抜いてしまいました。

BB(ボトムブラケット)がスクエアからホローテックに変わる

BBの構造がスクエアタイプからホローテックと呼ばれるタイプに変わります。BB自体の構造は全く異なりますが、基準が同じなのでスクエアタイプからホローテックへ付け替えることが可能です。

交換するために用意したもの

今回購入したもの

SORAの新型クランク(FC-R3000)、ホローテックBB(DURA-ACE SM-BB9000)、ホローテックBB取り付け工具、BB取り付け用アダプター、KMC社製6〜8速用チェーン(ミッシングリンク付き)

クランク締め付け工具を忘れていたので後ほど購入しました。今まではどうやって使うのか全く想像がつかなかったこの工具。実際に使う場面がやってきて、やっと使い方がわかりました。

クランク締付工具

新型SORAクランクへの交換手順

まず今取り付けてあるクランクを外します。左ワンのクランクに「コッタレス抜き」を差し込み、フィキシングボルトにかませます。正ネジなので左に回してボルトを緩めます

コッタレス抜きで左のクランクの取り外し

次にコッタレス抜きの反対側を差し込み、モンキーレンチで回してクランクを押し出して外します。

コッタレス抜きでクランクを外す

右ワンも同様に外します。フィキシングボルトは右ワンも正ネジです。左に回してボルトを緩めます。ボルトが外れたら、コッタレス抜きを逆に差し込み、スクエアBBの軸を押し出すようにして、チェーンリングをはずします。

右側のチェーンリングを外す

左ワンのBBを「BBツール」を使って外します。BBの左ワンは正ネジです。左に回して緩めます

左ワンをBBツールで外す

あとは右ワンのBB。右ワンのBBだけ「逆ネジ」です。右に回して緩めます

右ワンをBBツールで外す

BBが外れました。以前交換したシマノBB-UN55です。BB機能に問題はまったくありませんでした。

shimano BB-UN55

汚れているBB付近を綺麗に掃除します。クランクを付けたままだと掃除をしにくい場所なので、しっかり念入りに。

ユニコン カークリームで仕上げてピカピカになりました。

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BB付近を綺麗に磨く

いよいよBBを右ワンから入れます。ネジ部分にグリスを塗ります。写真ではこんもり乗せていますが、指でしっかり伸ばして余分なグリスを取っておきます。

BBを右ワンから入れる

デュラエースのBBは、他のグレードよりも大きさが小さいのでこのようなアダプターを取り付けてから、ホローテック用のBBツールで回します。このアダプターは「DURA-ACE SM-BB9000」の箱内に同梱されています。僕は店員さんに聞きながら買ったのですが、店員さんもご存知なかったようで、もう一つ購入してしまいました。ガッデム。

デュラエースのホローテック用アダプター

左ワンのBBも取り付けます。こちらもネジ部分にグリスを塗っておきます。先にクランクシャフトを通してから左ワンを取り付ける方法もあるようです。今回は左ワンのBBを先に取り付けました。

ホローテックの左ワン

右ワンからクランクシャフトを入れます。フロントディレーラーがそのままだと、このようにディレーラーの金具に当たってしまって最後まで入れることができません。どのみち、チェーンリングをトリプルからダブルに変更しているので、フロントディレーラーは使えません。


フロントディレーラーに歯が当たっている

フロントディレーラーを取り外します。左のグリップ横についてる変速レバーのカバーを開けて、ワイヤーも抜き取ってしまいました。ディレラーを外したら、チェーンリングを奥まで入れます。入りにくかったので、手のひらでボンボンと叩いて奥まで入れました。

フロントディレーラーを取り外す

チェーンリングとチェーンステーのクリアランスはこれくらい。トリプルからダブルに変更しているので、大きな径のギヤが少し内側に入りましたが、特別な措置をしなくても、十分余裕があります

チェーンリングとチェーンステーのクリアランス

左側のクランクを取り付けます。右側のクランクと正反対になるようにはめ込みます。

左側のクランクの取り付け

クランクをはめ込みます。プラスチックの板のようなものが出っ張っています。これはクランクが抜けるのを防ぐ為についている「外れ止めプレート」です。後ほど中に入れるので、プレートが出ている状態のままにしておきます。

外れ止めプレート

プラスチック製の「クランク取り付けボルト」を締め込んでいきます。指定の締め付けトルクは0.7Nm(ニュートンメートル)〜1.5Nm。このボルトを回すには「クランク取り付け工具」(メーカーによっては「エンゲージノブ」とも呼ばれています)を使います。締め付けの強さは、手でちょっと強めに回すくらいの強さです。このボルトを締めすぎると、クランクの回転が渋くなってしまうので、締めすぎないように、力加減に注意が必要です。

クランク取り付けボルトの締め付け

出っ張っていた「外れ止めプレート」を隙間に入れます。

プレートを隙間に入れる

クランクを固定する為、左右のボルトを交互に締めます。片方ばかり締めてしまうと、クランクが割れてしまうことがあるそうです。締め付けトルクは12Nm〜15Nmと細いボルトにしては高い締め付けトルクが指定されています。アーレンキーを使って左右のボルトを少しずつ締めていきます。手で締めた感じでは、ガッツリ力を入れて締めたという感じです。ボルトがなめないように気をつけてくださいね。

左右のボルトを交互に締め付ける

最後にペダルとチェーンを取り付けて完成です。チェーンリングが48Tから50Tに変わっているので、チェーンも今までのものより長さが必要です。ミッシングリンク付きKMC社製の6〜8速用を新調して1コマ短くしただけで装着しました。

ペダルとチェーンを取り付け

プラスチック製のカバーが目立っていた標準装備のクランクと比較すると、見た目の高級感がとても増しました。「Sora」のロゴもカッコイイ!これでBB(ボトムブラケット)とクランクの交換、取り付けが無事に完了しました。

クランクのSORAのロゴ

重さの比較

クランクとBBそれぞれの重さを測ってみました。まずは標準装備のクランクから。重さは1026gです。1Kgを超えているんですね。

標準装備のクランク

そしてBBの重さは、315gです。こちらは標準装備のBBではなく、SHIMANO BB-UN55に交換しています。

BB-UN55の重さ

新しいクランク「SORA FC-R3000」の重さを測ってみましょう。SORAは964gとクランクシャフトが付いているにも関わらず、標準のクランクより72g軽量です。

SORA FC-R3000の重量

デュラエースのBB「DURA-ACE SM-BB9000」はどうでしょうか。こちらはとても軽量で64gです。BB-UN55と比較すると251g軽量です。この二つのパーツで323gの軽量化ができました。重さにして缶ビール1本分のちょっと少ないくらいでしょうか。数字にすると僅かなようですが、自転車を持ち上げてみると、明らかに軽くなったのがわかります。

デュラエース DURA-ACE SM-BB9000 BBの重さ

デュラエースBBとSoraのクランクの効果

今回のカスタマイズではBBとクランクを同時に交換しているので、どちらの影響かがはっきりしませんが、回転性能自体にそれほど大きな変わりはないように思いました。よくギア1枚分は軽くなると書かれていますが、正直そこまではというところ。ある程度高速にならないと効果がわからないというお話もあるので、30km/hくらいで巡航すると、違いがわかるかもしれません。

また、チェーンリングの歯数が48Tから50Tに変わっているので、抵抗は増えているはずです。以前と変わらない感じだとすると、その抵抗分が吸収されているということになるので、実質軽くなっていると言えるのかもしれません。

クランクの剛性が上がっているので、スタートダッシュなど加速時については明らかに違います。クランクがカッチリしているのがはっきりと判ります。標準のクランクでも、フィキシングボルトを締め直すとカッチリした感じが出ていましたが、それよりももっともっとしっかりした感じ。今までクランクがたわんでいたんだなぁというのが判ります。

スクエアBBの構造だと、下死点でさらに下方向へ力が加わると、どうしてもBBの軸から抜ける方向へ力が掛かってしまうので、フィキシングボルト1本ではクランクが緩みやすく、たわんでいるという感覚になってしまうのかもしれません。もちろんクランクアームの構造や素材によっても違いがあるでしょう。

回転性能を比較する為にチェーンを落とし、スクエアタイプのBBとデュラエースのBBでどちらがよく回るのか、手でまわしてみました。

結果はスクエアタイプのBBの方がよく回りました。あらかじめデュラエースのBBに塗られている「デュラグリス」は粘度が高めで、回転が渋いのだとか。AZのウレアグリスに置き換えると回転性能が高まるようですが、柔らかい分、流失しやすく枯渇するのが早いような気もします。迷うところではありますが、「やっぱり回らなきゃダメでしょ!?」と回転性能を求める方はAZのウレアグリスに置き換えられると良いのではないでしょうか。

ただ、回転性能が悪くても、シマノも実験を繰り返した結果をもとに、最高品質のデュラエースのBBを仕上げているはず。長期的な性能保持も含め、何か意図があるのではないか?と考えて、このままの状態でしばらく乗ってみたいと思います。

この辺り、レース直前のロードバイクなら、どれくらいクランクが回るのでしょうね?短期的に回転性能を上げる場合と長期的に性能を保持する場合では、BBのグリスの硬さも異なるように思います。

BBをホローテック化し、クランクも新型のSoraに交換するという少し大掛かりなカスタマイズとなりましたが、感想としては「ワンランク上の自転車」になった感じがします。良いパーツを取り付けてみて、初めてわかるその効果。回転性能については、そもそも手回しだけで回転性能を測って良いのかどうか。もっと奥の深いものかもしれません。

フロントディレーラーについては、変速の必要性が出てきたら取り付けるということにしたいと思います。僕の場合は無くても良さそうだなぁ。そうなると次はフロントをシングルにしたいなんて言い出しかねない自分が怖いですね(笑)。

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コメント

  1. よっちゃん より:

    こんにちは!
    良いですね、ミストラルがどんどんオリジナルになっていきますね(*´∇`*)

    BBやハブは自転車の心臓部ですから、自分も最近変えたいなと思っていたところのタイムリーな記事をありがとうございます!

    確かにフロント3枚って使わないですよね。。笑
    自分も2枚にしようかなあ?

    1. chario より:

      よっちゃん
      こんにちは!よっちゃん、旅に出たくてウズウズしてきてるんじゃないですか(笑)??
      ネコバスの旅はちょっと刺激が強すぎるのではw。

      作業的には大したことはないのですが、結構大掛かりなカスタマイズになりました。
      まさに心臓部のカスタムを行ってみると、全く別の自転車になったような印象です。
      今までは、なんだかんだ言ってペダルを踏み込むと「パキパキ」「ギシギシ」と音がして、またフィキシングボルトを増し締めしてというのがあったのですが、そのあたりは解消するのではないかなぁと思っています。

      クランクの剛性にまだ足が慣れてない感じですが、坂道の登りなんて全然感触が違いますね〜。
      ダンシングしてもペダルの向きまでしっかりついてきている感じがわかります。

      スピードアップするというより、力の伝え方やペダリングが変わるというカスタマイズといったほうが的確かもしれません。
      と〜ってもご機嫌ですよ!

      フロント3枚、日本一周でもあまり使わなかったですか??よっちゃんでも使わないのなら2枚にして正解ですね(笑)!

  2. ヒデさん より:

    こんにちは〜❗️自分もGIOSのMISTRALに乗っています❗️結局、改造費っていくらかかりましたか?

    1. chario より:

      ヒデさん
      こんにちは!過去の改造費ですか??
      過去のエントリー「ジオス ミストラルのカスタマイズ(改造)をまとめてみました!」でまとめた内容と、サドルを足しますと・・・。

      おおよそ5万円くらいじゃないでしょうか。
      あとは、ブルホーンですね。これが結構かかると思います。

      なかなか高級なミストラルになってしまいました(汗)。

      1. ヒデさん より:

        クランクとリアディレーラーを、SORA化にしておおよそいくらかかりましたか?

        1. chario より:

          ヒデさん
          クランクが1万円、デイレーラーが4500円、チェーンが2000円、ホローテックのBBが3000円くらいで、総額2万円くらいだと思います。

  3. ヒデさん より:

    クランクとリアディレーラーをSORA化にするには、何が必要ですか?

    1. chario より:

      ヒデさん
      クランクを変えるには、
      SORAの新型クランク(FC-R3000)、ホローテックBB(DURA-ACE SM-BB9000)、ホローテックBB取り付け工具、BB取り付け用アダプター、KMC社製6〜8速用チェーン(ミッシングリンク付き)を用意しました。

      あとは、既存のスクエアテーパーのBBを取り外す工具として、コッタレス抜き、BBツールが必要になります。
      <BB(ボトムブラケット)の取り外し方>
      http://jitetsuu.com/blog-entry-69/

      リヤディレーラーを変えるには、
      リヤディレーラー(SORA RD-3500 SS)のみですが、注意点としましては、ミストラルはもともとリヤスプロケットがMTB用(ワイドレシオ)が取り付けられています。そのままではSORAに適合しないので、ロード用のクロスレシオのものに交換しました。工具はアーレンキーで取り付けが可能です。

      <リヤディレーラーをSORA に交換(RD-3500 SS)>
      http://jitetsuu.com/blog-entry-99/

      <変速が楽に!ワイドレシオなスプロケットを交換してクロス化してみた!>
      http://jitetsuu.com/blog-entry-78/

      以上、ご参考にしていただければと思います!

  4. ゆでダコ より:

    こんばんは。
    私はGIOSのmistral2018わ3ヶ月前に買いました!!!
    そこで、9速化したいのですがシフターとフロントディレイラーはどうしたのでしょうか。。。
    教えてもらえると助かります!!

  5. ゆでダコ より:

    あ、ちなみに間違えました^^;
    9速化ではなく8×2にしたいのです!
    そこでFDとシフターは投稿者さんはどうしたのかと思いまして^^;
    何度もすみません^^;

    1. chario より:

      ゆでダコさん
      チェーンリングをsoraに変えたとき、おっしゃる通りFDをどうしようか悩みました。でも僕はアウターしか使わないので、まぁいいかとFD自体を外してしまいました。

      ですので、シフターも新設することなく、ワイヤーも取り外してしまいました。

      デメリットとしては、チェーンが外れやすいこと。下りの坂道などチェーンにテンションが掛かっていないところで段差などに載ると外れやすいです。

      その為、下りでも必ずチェーンにテンションが掛かるように変速しています。

      それ以外は特に不自由していないですね〜笑。

      1. ゆでダコ より:

        そうですか!
        アウターだけだと必要ないですね笑
        アドバイスありがとうございました!

  6. ほくらびゅう より:

    最近のパーツの知識が全くなくていろいろ調査中なので大変参考になりました。ありがとうございます。

    ところで、最後の方でグリスについて書かれていますが、粘性の高いグリスを使う理由としては長期的な性能保持の他に高荷重で低速回転の時はベアリングの球と外周面の油膜が途切れないでミクロで見たときに金属同士の接触がないことがあるのかも知れません。それを防ぐためにグリスには極圧添加剤が配合されていますが、2つのグリスの違いは設計思想が異なるためか時代の差なのかはわかりません。ローラー台などで一定時間こいで(実際の荷重と回転数で回して)温度上昇の少ない方がより適したグリスなんだと思います。

    1. chario より:

      ほくらびゅうさん
      参考にしていただけたとのことで嬉しいです!ありがとうございます! グリスって難しいんですよね。おっしゃる通り回転速度にもよって粘度を変える必要があったり。。。 比較的ゆっくり手で回したので、デュラエースの方が回転数が少なかったのですが、高速だと結果が違っていたかもしれませんね!

      いやーグリスって奥が深いです!

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