
先日調べ物をしている時に、「自転車条例が大阪で施行」という記事を読んで驚きました。「行政も自転車への意識が高まってきているんだなぁ」と思いながら読み進めていると、それがすでに施行されていると知り、2度驚きました。情報があふれていると言われるこの世の中で、大切な情報が届いていないというもどかしさ…。
今回は大阪府の条例が一体どのようなものか。条例に違反するとどうなるのか、についてお伝えしたいと思います。
自転車条例の概要
交通安全教育の充実
交通ルールの遵守、マナー向上は子供が小さい頃から、家庭や学校等における継続的な交通安全教育が重要です。事業者は従業員に対し、交通安全に関する研修等を行いましょう。
自転車の安全利用
高齢者が自転車に乗車するときは、ヘルメットをかぶりましょう。自転車は車両です。自動車と同じようにタイヤの空気圧やブレーキの効きなど日常的な点検を行いましょう。
交通ルール・マナー向上
自転車は車両です。ルール・マナーを守って自転車を安全・適正に利用しましょう。
自転車保険の加入義務化
自転車事故の備えと、被害者の救済を図るため、自転車利用者(未成年者の場合は保護者)は、 自転車保険に加入しなければなりません。
※大阪府のホームページより引用
ポイントとしては、保険の加入義務が制定された点です。条例自体は2016年4月に施行ですが、保険に関しては少し猶予があり、2016年7月に施行となったようです。
大阪府で「自転車保険未加入」は条例違反になるということですね。
ちなみに、条例の本文ではこれらの内容をカッチリかいてあります。本文を読んで見たい方はこちらをご参照ください。
「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(大阪府自転車条例)【本文】
なぜ条例ができたのか
自転車事故の死者数が増えた
大阪府内での自転車事故の死者数が2015年は、前年より16人増加の50人に達しました。
また、自転車事故件数は前年より1000件減ったものの、12,222件で都道府県別の自転車事故数が全国ワースト1という不名誉な結果に終わっています。
2015年に大阪府が実施したアンケートでは、自転車保険の加入が40%に留まっていることがわかりました。
他の都道府県と比べて大阪は自転車事故が多いのに、自転車保険には入っている人が半数以下ということが、今回の条例制定に至る一番大きな要因ではないでしょうか。
条例に違反するとどうなるの?
自転車条例に罰則は制定されていません。ということは条例に違反しても何も罰せられないということです。
保険加入の確認をしなければいけませんが、家族の保険に入っていたり、自動車保険にひっついていたりと、本人も認識が薄いこともあり、確認が難しいからという理由だそうです。
また、自転車には車両を登録するシステムがなく、車両番号がない場合もあるため、車体を特定し、罰則の対象を確認することが困難だからという理由だそうです。
少し話が逸れますが、フレームには「車体番号」が刻印されているのに、有効に使われていないのがなんとも悲しい…。確かに登録台数が半端ない数なので、行政としては「やりましょう!」と言いにくいのかもしれませんが、民間では難しい仕組みなので、是非1台ずつの車体番号と持ち主の管理を行っていただきたいと思います。
他の都道府県の自転車条例は?
東京都
東京都は取り組み始めたのも早く、2013年に「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が制定されています。2016年10月にはさらに条例を改正。主に安全な自転車利用の啓発、教育に関する項目が追加されました。
東京都の場合は個人での保険加入は義務化されておらず、レンタルサイクルなどの「貸付事業者」が貸し出す自転車には加入する必要があるようです。
京都府
京都府では東京よりもさらに早く、2007年に「京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例」が制定されています。自転車に同乗する幼児のヘルメット着用、安全な自転車利用の啓発です。こちらも保険加入には関しては義務化されていません。
福岡市
福岡は県ではなく市の条例で2013年4月に「福岡市自転車の安全利用に関する条例」が制定されています。安全な自転車利用の啓発がメインですが、天神地区に「押し歩き推進区間」というエリアがあり、人の多いところは自転車を押して通行しなければいけません。
千葉県
千葉県では2017年4月1日より千葉県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が施行されます。安全な自転車利用の啓発がメインですが、千葉県の条例では「自転車利用者等は、自転車損害賠償保険等の加入確認及び保険加入に努める。」とあり、自転車の保険についてなるべく加入するように書かれています。
その他の道府県
北海道では2017年1月に自転車条例制定への準備会なるものが設置されました。愛知県、広島県、岡山県はまだ自転車条例については動きがない状態です。
今後は各都道府県ともに順次自転車条例が設置されるのではないでしょうか。また、保険に関する項目が含まれてくるように思います。
2015年6月に施行された自転車向け改正道路交通法の流れに沿って、各都道府県も条例の作成に乗り出したのでははいでしょうか。これ以外の都道府県にお住まいの方も是非一度、お住まいの県の「自転車条例」について調べてみてください。
ということで、様々な都道府県の自転車条例を見てみましたが、「自転車保険の加入」については大阪が一番強く推奨しているようです。
条例違反でも特に罰則はありませんが、ビールとかタバコをちょっと我慢すれば捻出できる金額(毎月300〜500円)くらいなら「自転車保険」は入っておいた方が良いかもしれませんね(笑)。
「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(大阪府自転車条例)
